理想のライフスタイルを叶える家
住まいのインタビュー
静岡県西部に位置する浜松市は、海、山、湖、川が揃う豊かな自然と、温暖な気候、県内最多の人口を有する都市機能を併せ持った住みやすいまちとして移住者に人気のエリアだ。東京と大阪のほぼ中間地点に位置し、東西の主要都市へのアクセスが良いことも人気の理由となっている。
東京都内の外資系IT企業に勤めるKさんが浜松市に移住したのは2021年9月のこと。JR浜松駅から徒歩10分の大通りに面した3階建てのビルで、夫のJさん、3匹の愛猫と一緒に暮らしている。
バランスの良いまち

カナダ人の夫は長年浜松で社会人向けの英会話スクールを営んでいます。私は東京の会社に勤めているので以前は別々に暮らしていましたが、コロナ禍の影響でフルリモートワークになったのを機に、私が浜松へ移住することにしました。移住前から東京と浜松を行き来する2拠点生活を続けていたので、浜松に住むことへの不安は全くありませんでした。
Kさんにとって浜松は、全てのバランスが整った「暮らしやすさ」が魅力だという。気候が温暖で市街地と自然が近く、程よく活気があって、病院や買い物にも困らない。製造業など大きな会社が多いので、移住者が多いのも特徴だ。
仕事がリモートワークになったとはいえ、私は現在も東京の会社に勤めていますので、月に3回ほどは東京に通っています。また実家のある京都にもたびたび帰省します。浜松は東京へのアクセスも良いですが、京都が近くなったのも嬉しいですね。
人生を楽しむための家づくり

Kさん夫妻が住む浜松の家は、1階は将来的にカフェに、2階はJさんが続けてきた英会話スクールに、3階は2人の住居、さらに屋上はルーフトップテラスの鉄骨造3階建て。1階のカフェ用スペースはまだ開店していないものの、Jさんが描いた絵画やお2人が好きなアートブック、観葉植物、バイク、コーヒーの焙煎機などがセンス良く並んでいる。
家の間取りは、将来的に自分たちでカスタマイズしやすいように、できるだけシンプルにしたかったんです。そこでこの家は最初から木造ではなく、鉄骨造で建てたいと思っていました。鉄骨造にすることで柱の本数を減らせるので、1階と2階はほぼワンフロアの開放的な空間をつくることができました。
私たちの家づくりは、セミリタイア後の暮らしを見据え、これまでの仕事中心の暮らしから、自分たちの人生を楽しむ暮らしへシフトするために建てたものです。当初から英会話スクールやカフェの計画があったので、集客の面でもアクセスの良いまちなかを選びました。おかげさまで、教室をここに移転してから生徒数も増えました。カフェの開業も東京に比べて地価が安い浜松だからチャレンジできたのだと思います。
またまちなかとはいえ、東京と違って高いビルが少ないことも浜松ならでは。人を招きやすい環境を整え、友人を誘って屋上でバーベキューをしたり、2階でホームパーティを開いたりすることも、浜松で家を建てたらやってみたいことのひとつだった。そしてもうひとつ叶えたかったのが、3匹の愛猫とのペットライフだ。
猫たちとの暮らしも、浜松に来たからこそできること。3匹とも市の譲渡会で譲り受けました。猫たちは1階から3階まで自由に行き来できるので、猫たちにとっても暮らしやすい家だと思います。英会話スクールの生徒さんたちにも人見知りすることなく自由にしています。
ひとつ屋根の下、ちょうどいい距離で働く

Kさんの+Oスペース*(ワークスペースのこと。以下、+Oスペース)は、3階の住居スペースにあり、開放的に造られているこの建物では珍しい完全個室になっている。外資系IT企業のマーケティング責任者として働くKさんは、リモート会議が多く、午前中はミーティングが続いてここにこもりっきりになることも多い。ミーティング以外の仕事は1階のカフェスペースや過ごしやすい時期は屋上のテラスなど、その日の気分で場所を選んで仕事をしているという。それでも夫婦どちらも自宅で仕事をするとなると、お互い気を遣うことはないのだろうか。
私は平日の9時から18時が勤務時間。彼は社会人向けのクラスなので平日の夕方以降と土曜日が授業なんです。私が仕事を終えて3階で過ごす時間帯には、夫は2階の教室で仕事をしているので、平日は夕食もほとんど一緒に食べないんです。彼は私と逆で平日の昼間に時間が空くので、1人でウォーキングに出かけたり、趣味に時間を使ったりしています。いつもべったり一緒ではないですが、螺旋階段の吹き抜けで空間が繋がっているからか、なんとなくお互いの気配を感じられるこの距離感が気に入っています。平日一緒に過ごせない分、日曜日は2人でランチをしたり、湖までサイクリングに出かけたりしています。
これからの楽しみがある家

一緒に過ごす時間と同じくらい、それぞれの時間も大切にしているK夫妻の浜松ライフ。特に好きな事に時間をかける夫Jさんの暮らしには、豊かな人生を送るためのヒントが詰まっている。
夫はとにかくこだわりが強い人。特に2階は彼の教室なので、コーヒー系のマシーンやカップ類は完全に彼の趣味です。あちこち出かけては掘り出し物のリユース品を見つけてきますが、私も嫌いじゃないのでそこは彼に任せています。壁を塗ったのも彼です。でも一度塗ったら終わりとはならないのがカナダの人なんです。また気が変わったら別の色に塗り直したりして、常に何かの「プロジェクト」のように家のDIYをしています。私もカナダの生活が長かったので、それにすっかり慣れていますね。
1階のカフェスペースも開店準備のほとんどは終わっていて、あとは許可申請の結果を待つばかり。お2人の好きなコーヒーを提供するロースタリーカフェを予定しているという。ただお2人とも本業があるので、オープン当初はアルバイトの方を雇い、Kさん夫妻はコーヒー豆の仕入れや焙煎、事務作業などの裏方にまわるという。
もちろん、忙しい時は店に立つこともあると思いますが、いずれにしても、自分たちのセミリタイアの時期が来たらちょっとずつカフェにシフトしていくつもりです。夫はもしかすると、もっと真剣にやりたいと思っているかもしれませんが、私にとってはカフェで食べていこうというわけではなく、「人生を楽しむためのカフェ」という位置付けですね。こんなライフスタイルも、浜松に移住して、これだけのスペースがあるから叶えられたこと。これからも自分たちらしく、浜松の暮らしを満喫できたらと思います。
この家を建てて3年が過ぎた今も、Kさん夫妻の家づくりに終わりはない。ワンフロアの大空間は、Jさんが描く絵画のキャンバスのように、やりたいことが増えるたびに塗り替えられ、新しい「プロジェクト」が始まるのだろう。
(*)+O(プラスオー):静岡らしい住まいにオフィス空間をプラスした住環境のこと。「住まい+Office」から静岡県が作成した造語。
Information
所在地 | 浜松市中央区尾張町 |
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形態 | 持家 |
構造・階数 | 鉄骨造・3階建て |
延べ面積 | 235㎡ |