事例・お客様の声 Project

こころと暮らしが整う、平家のわが家

住まいのインタビュー
こころと暮らしが整う、平家のわが家

静岡県のほぼ中央に位置する藤枝市は、東海道の宿場町として栄え、現在も新幹線や高速道路が街の東西に走る交通の要衝となっている。静岡市からも近く、自然豊かな静岡のベッドタウンとして子育て世代に人気のエリアだ。
2021年の暮れにこの地に引っ越してきたKさん一家は、ご夫婦と3人の元気な男の子の5人家族。のどかな田園風景の中に建つ美しい平家住宅には、K夫妻(夫Sさん、妻Sさん)それぞれの、家族への想いが溢れている。

生まれ育った原風景を求めて

静岡県焼津市出身のK夫妻は、出産・子育てを機にそれまで暮らしていた京都を離れ、お二人の地元である静岡に戻ってきたという。「子育ては自然豊かな田舎で」がお二人の希望だった。

夫Sさん:まず、実家の近くで子育てしたいというのが妻の願いでした。田舎は近所付き合いが面倒だという人がいますが、私たちはむしろ子育てには近所の人の顔がわかる環境が必要だと思い、田舎に引っ越してきました。

マーケターとして活動する夫Sさんは、ネット環境さえ整えばどこでも仕事ができるため、住む場所は全国どこでも良かったという。それでも藤枝に家を建てた理由は何だったのだろうか。

夫Sさん:静岡はやっぱり気候が良いですね。私は寒いのが苦手なので京都の冬は辛かったんですよ。藤枝は年間の平均気温が16℃前後ありますからね。本当に暖かいです。また、交通の便が良いところも気に入っています。新幹線があるので東京や名古屋へすぐ行けますし、車も新東名高速道路が近いので便利です。仕事で福岡や札幌にも行くので、家から車で40分の富士山静岡空港はよく利用します。チェックインに時間がかからないのですごく楽ですよ。

夢をかたちにする「家づくりノート」

大きな空が広がるのどかな田園風景。和の落ち着いた佇まいに、どこか懐かしさを感じる方形屋根の平家住宅。土地や建物のデザインに、夫Sさんはほとんど口を出していないという。

妻Sさん:家づくりを希望していたのは私の方なんです。土地も工務店さんも私がネットやインスタグラムで探しました。私は祖父母が農家だったこともあり、田舎の田園風景を見るだけで子どもの頃を思い出してウキウキするんです。ここは駅から比較的近い場所ですが、とても静かで車通りも少ないので、子どもたちものびのびと過ごすことができて気に入っています。

工務店は静岡県西部を中心に、注文住宅の新築・リフォームを行う〈株式会社サン工房〉に依頼した。日本の伝統技術を取り入れた木の家は、幅広い年代から支持を得ている。

妻Sさん:私は木が好きなので、木の家にこだわった工務店さんを探していたんです。サン工房さんは、木をふんだんに使いつつ、余白を感じさせるシックな佇まいが気に入りました。私たちの家も、仕上げ材に無節の無垢材を使用し、シンプルで洗練された空間にしていただきました。漆喰や障子戸など和を取り入れた落ち着きのある雰囲気も気に入っています。

ワンフロアで完結する暮らしやすい動線と快適性を兼ね備えた平屋住宅が、ここ数年人気を集めているという。Kさんの住宅は、間取りの中心に4畳半の和室を配し、その周りをぐるりと回遊できる。まさに平家住宅のメリットを最大限に活かした、シンプルかつ大胆な間取りが特徴だ。さらに妻Sさんは、理想の収納スペースや家事動線、具体的な間取りイメージをまとめた「家づくりノート」をつくり、設計士さんに渡して細かな要望を伝えたという。

妻Sさん:もともと、家の間取りを考えるのが大好きだったんです。まず家にある荷物を全部書き出して、それらを収める収納ケースやゴミ箱のサイズ、作業台の高さなど、すべてを採寸しました。また自分の好みのインテリアスタイルを設計士さんに伝えるため、自分の気に入ったインテリアの画像を集めてその画像に説明のコメントも添えました。

洗濯動線は、ランドリールームからファミリークローゼットまで、効率よく家事が行えるように収納や作業台の配置を設計してもらいました。またキッチンに物が出ているのがあまり好きではないので、家電やキッチンツールが見えないように収納場所を確保してもらいました。

一冊のノートに収められた情報量の多さに圧倒されたという設計士さんだったが、妻Sさんの想いを受け、快適性と機能性に安らぎの空間演出が加わった、美しい家を完成させた。

心を整える+Oスペース

家づくりを経て、整理収納アドバイザーの資格を取得したという妻Sさんだが、「整える」ことに関しては、夫Sさんも特別なこだわりを持っているという。平家の一角に設けられた夫Sさんの+Oスペース*(ワークスペースのこと。以下、+Oスペース)は、3畳ほどの独立した仕事部屋になっている。このスペースの最大の特徴は、デスクの横に設置された畳敷きの小上がりだろう。

夫Sさん:私は日頃から精神を整える方法として、瞑想を取り入れています。この畳のスペースは、瞑想する場所として使っています。

仕事場であり、瞑想する場所として整えられた部屋は、デスクや棚に無駄なものが一切なく、清浄さが保たれている。ただ1箇所だけ賑やかな雰囲気を醸し出している場所が、フォトフレームが並ぶ家族写真コーナーだ。

夫Sさん:このコーナーは、妻にお願いして用意してもらいました。家族の写真は、見ていると気持ちが落ち着きますし、逆に気持ちが沈んでいる時は、やる気を与えてくれます。仕事や家庭、健康、勉強、あらゆることがバランス良く整うように、ここで気持ちのオンオフを切り替えています。

心と暮らしを整える住まいのかたち

K夫妻の話からは、子育て真最中ならではの、3兄弟のわんぱくエピソードが次々と出てくるが、落ち着いたインテリアと整理整頓が徹底させたお宅からは、育児の大変さは微塵も感じられない。

妻Sさん:家づくりで実践した収納術や家事動線のおかげで、物が片付き、気持ちにもゆとりが生まれたと思います。キッチンに立つと、和室もリビングも庭も全部見渡せるんです。とても開放的な空間なので、子どもたちの様子もよく見えますし、ここにいるとすごく気持ちが安らぎます。

妻Sさんのもうひとつのお気に入りの場所が、四季折々の表情を見せてくれる庭と庭先の縁側だ。ここで子どもたちとおやつを食べながら、かつて自分が祖父母と過ごした時を思い出すという。心と暮らしが整う住まいには、空間と余白、時間のゆとり、毎日の暮らしに喜びを見出す心のゆとりが生まれるのだろう。

(*)+O(プラスオー):静岡らしい住まいにオフィス空間をプラスした住環境のこと。「住まい+Office」から静岡県が作成した造語。

Information

所在地 藤枝市稲川
設計・施工者 株式会社サン工房
(https://www.sankoubou.com/)
工事種別 新築
建物概要 木造2階、延床面積 約156㎡